日本睡眠学会第38回定期学術集会 シンポジウム20「不眠対策の原点回帰〜私の睡眠薬の使い方と工夫〜」

6月27日(木)〜28日(金)の2日間、秋田県秋田市において日本睡眠学会第38回定期学術集会(会長:清水 徹男 先生(秋田大学大学院医学系研究科 医学専攻病態制御医学系 精神科学講座))が、「原点回帰」をテーマに開催された。ここでは28日(金)に行われたシンポジウム20「不眠対策の原点回帰〜私の睡眠薬の使い方と工夫〜」の中で漢方について触れられた発表を一部紹介する。
期 日 平成25年6月28日(金)
会 場 秋田キャッスルホテル(秋田県)
座 長 堀口 淳 先生(島根大学医学部精神医学講座)
水野 創一 先生(独立行政法人国立病院機構福山医療センター)

シンポジウム20 「不眠対策の原点回帰〜私の睡眠薬の使い方と工夫〜」

精神科病院における不眠患者への治療工夫
河野 公範 先生
島根大学医学部精神医学講座/医療法人同仁会海星病院

河野公範先生は、精神科病院での入院患者の高齢化の実態、それに伴い増加する転倒や窒息などの問題、およびそれらのリスクを高めずに睡眠障害を治療するための工夫などを紹介した。その工夫の1つとして漢方を取り上げ、アルツハイマー病(AD)患者の入眠困難に抑肝散や酸棗仁湯が、また、夜間頻尿による中途覚醒に牛車腎気丸が奏効した例などについて解説された。
今後の漢方の展望と課題として、高齢化に伴い副作用の少ない漢方薬の重要性がますます高まると予測されることから、証などの漢方的知識がない臨床医でも適切に漢方を処方できるよう、より分かりやすく簡潔な漢方薬の選択法の確立が望まれると語った。
高齢患者への不眠対策
新野 秀人 先生
香川大学医学部地域連携精神医学講座

新野秀人先生は、高齢者は睡眠構造の変化や睡眠覚醒リズムの変化を生じることが多く、周期性四肢運動障害、レストレス・レッグス症候群、レム睡眠行動障害などの睡眠随伴症状を伴う場合もあることから、睡眠障害の病態が複雑で一般的な睡眠薬では治療が困難な例もあり、病態に応じた薬剤選択が必要であると述べた。また、高齢者の睡眠障害患者36例を対象とした集計調査の中で、ベンゾジアゼピン系睡眠薬から他系薬剤に切り替えた患者のうち、抑肝散に切り替えた5例の患者が睡眠障害を改善したと紹介し、自身が以前に行った抑肝散の睡眠障害改善に関する臨床データや、グルタミン酸神経系/GABA神経系への作用機序を示し、抑肝散の睡眠障害への有用性を示唆した。

総合討論の中では、堀口先生が術後せん妄に対するラメルテオンや抑肝散の予防投与について話題提供された。これを受けて新野先生は「予防というのは重要な点。せん妄の治療にはクエチアピンやリスペリドンが有効だといわれているが、治療薬と予防薬とは違う気がしている。睡眠覚醒リズムの変化を整える作用のあるラメルテオンや抑肝散などは予防薬として期待できるのでは」と述べた。

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