臨床エビデンス

上腹部不定愁訴

多成分からなる漢方薬「六君子湯」は、胸焼け、胃もたれ・膨満感、上腹部痛、悪心・嘔吐、食欲不振等の上腹部不定愁訴に関して1剤で対処可能というメリットがあります。FD、GERD/NERD、術後・がん化学療法に伴う不定愁訴に対する有用性を紹介します。

FD
機能性ディスペプシア、機能性胃腸症(FD)
胃もたれ、胃痛、膨満感など上腹部症状が長期間発現しているのに、内視鏡検査で胃には異常が認められない病態を機能性ディスペプシア(FD)といいます。1980年代にはこの病態をnon-ulcer dyspepsia、NUDと呼んでいました。FDの最新の診断基準としてはRome IIIで、この診断基準では、FDは食後愁訴症候群すなわち胃のもたれ・早期飽満感と、心窩部痛症候群すなわち心窩部痛・心窩部灼熱感に分類されています。 そして6ヵ月以上前からの発症で,最近の3ヵ月間に一定頻度以上の症状発現があるものと定義されています。病態を一元的に説明することは難しいですが、発症要因としては、心理ストレス、胃運動機能障害、内蔵知覚過敏などが知られています。発症要因がいくつもあるため、多方面からの治療的アプローチが有効であると考えられています。

臨床成績


臨床薬理


GERD
GERD(逆流性食道炎)/NERD(非びらん性)
胃食道逆流症(GERD)とは、胃内容物の逆流によって不快な症状あるいは合併症を起こした状態を指し、その特徴的な症状は、胸焼けや呑酸です。下部食道粘膜に内視鏡的に明らかな粘膜障害(びらん)が確認できるものを逆流性食道炎、粘膜障害がないものを非びらん性胃食道逆流症(NERD)として分類されています。 GERD/NERDの発生因子としては、酸分泌異常、食道クリアランス低下、食道粘膜バリア機能低下、下部食道括約筋(LES)調節機能異常などが報告されています。GERD/NERDの治療としては、これらの異常・低下を改善することが重要です。

※本図には仮設も含まれています。

臨床成績


機序的検討


術後不定愁訴
がん化学療法
がん化学療法

臨床成績


機序的検討

六君子湯の食欲増進メカニズムとして、1.グレリン分泌作用、2.グレリン代謝酵素阻害作用、3.グレリンシグナル増強作用が報告されています。

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緩和ケアでの工夫

多くのがん患者さんが種々の症状の中で嘔気・嘔吐に悩んでおり、漢方薬を服用できないケースがあります。漢方薬のエキス剤をお湯に溶かした時に、その匂いと味で嘔気を生じる場合があるため、お湯に溶かした後に、製氷する(氷漢方)にすると、匂いや味が薄まるため、製氷した六君子湯(氷六君子湯)を嘔気・嘔吐・食思不振などの治療手段として使用されているという報告があります。

参考文献:恵紙英昭,ほか. 痛みと漢方. 2010, 20, p.20.(ツムラ文献DB No. ZK020003)


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